ふゆの与太話

取り留めのない日々の事や好きな作品についてお話を

へし切長谷部軽装妄想(夢2)

なんというか……何故歌仙ちゃんを出したのだろう……??

我が本丸の初期刀だからかな……??

歌仙ちゃんは戦友って感じなんだよね……。とりあえず出したい……。

というか、昨日神剣ゼミって言ったから、石切さんと青江ちゃんも出したかった……。

青江ちゃんは髪結で出せそうだけど、石切パッパは難しくて……。まさか加持祈祷させるわけにも……。

長谷部も何事かと思うよな……。

というか、自分のテンションと審神者のテンション違いすぎて禁断症状起こしそう。

私だったら鼻水と涙垂らしながら長谷部に求婚するわ。

もし、長谷部の解釈が違っても、他本丸だから、で許してください。

 

 

妄想act.2 デート本番

【突然のお誘いから甘味屋デートをすることになった長谷部と審神者。辿り着いた甘味屋は川や草花を眺めながら甘味を味わえる、長閑で静かな場所だった】

 

 長谷部と横並びで座り、目の前のさあさあと流れる小川を見つめる。

 わずかな風はあるものの、晴天の中輝く太陽が暖かった。

「主、あんみつやわらび餅などでなくて良かったのですか? せっかくですし、団子以外も食されては……」

 長谷部の言葉を遮り首を横に振ると、串を一本取って団子をかじる。

 あんみつやわらび餅は魅力的だが、器のあるものは机のない場所で食べるには不向きだし、横に並んでも彼の姿を簡単に見ることはできない。

 しかし、彼は団子以外のものを食べたかっただろうか。

 団子を離し慌てて長谷部を見れば、彼は揺れる木々を眺めながら、大きな口を開けて団子一個を丸々口の中に入れていた。

 彼の麗しい容姿はもちろん、上品な姿勢からはあまり想像できない豪快さだ。

 彼は審神者にこそとても丁寧だが、刀剣男士に関してはそうでもない。おそらくそれが素で、自分に見せないだけで本来はもう少し大雑把な性格なのだろう、と彼らと話す姿を見て思っていた。

 普段の食事も、好みのものがあるときには少し丁寧に食べているようだったが、それ以外はわりと掻き込んでいたようにも思う。

 小さく笑みを漏らすと、早くも四個目をかじり串から抜いていた長谷部がこちらを見た。

 数回口を動かし飲み込んだ長谷部は、不思議そうに首を傾げた。

「どうかしましたか」

 なんでもない、と小さく首を振ったものの、念のため先ほどの疑問を投げかける。

 長谷部は瞬きを繰り返すと、ふっと表情を緩めた。

「お気遣いいただきありがとございます。俺は団子で十分ですよ」

 ほっと胸を撫で下ろし、再び団子を食べ始めると、長谷部の指先がそっと伸びてくる。

「失礼します。口の端にあんこが……」

 長谷部は、触れる人差し指に軽く力を込めると、サッと口の端を擦った。

 ありがとうと伝えるため口を開きかけたものの、彼が自身の指先についたあんこを舐め上げたのを見て、言葉を飲み込んだ。

 見下ろす彼の瞳が、悪戯に細められた気がした。

 自分より背の高い彼は、普段から見下ろさないように気を付けているのか、顎を引き、なるべく見上げるような視線を向けてくる。

 それが彼の「主」である自分に対する気遣いであることは理解している。しかし、そのわずかな壁を寂しいと思わないわけではない。

 彼は今、仕えるべき「主」としてだけでなく、一緒に休日を過ごしてもいいと思える、一人の「女性」として自分を見てくれているような気がした。

 勢いよく彼か視線を逸らすと、やけ食いのように団子をかじる。隣で微かに、彼が笑ったような気がした。

 彼の笑った姿を見たいとは思うものの、今また彼を見れば、きっとこの食べかけの団子すら喉を通らなくなってしまう。

 まだわずかに感触が残っている口元の感覚を消すように、なるべく大きな口を開いた。

 

 出されたお茶を飲みながら、ほっと息をつく。

 途中の彼の行動に動揺はしたものの、団子は美味しく、お茶も香りが立っていてとても喉越しがいい。

「……今日は、突然お誘いしてしまい、申し訳ございません」

 隣を窺えば、長谷部が申し訳なさそうに眉を下げていた。

「本来であれば、事前にお伺いするべきだとは思ったのですが……出来れば早く、主にこの姿をお見せしたくて」

 彼の言葉の意図が分からず首を傾げると、長谷部小さく笑った。

「これまで、多くの刀剣が軽装を披露して来ましたが、その度に嬉しそうにされていたので。俺のこの姿も喜んでいただけるのでは、と」

 横目でこちらを見た長谷部に、甘く胸が疼いた。

 彼は普段とても自信があるようで、すべてを確信しているようで。そんな彼が喜んでもらえるかを気にしていたというだけで、こみ上げてくるものがある。

 そっと彼に体を寄せれば、ほんの少しだけ、彼の体が跳ねた。

 仕返しの意味も込め、笑いながら見上げれば、彼は片手で顔を覆い深く息を吐き出した。

「どうかご容赦を、主」

 薄く桜のように色づいた彼の頬に、さらに表情が緩まる。

 きっと、自分は彼以上に顔が色づいているだろう。しかし、それでいい。それを見られてもいい。

 今この瞬間、彼と同じ想いを共有できていることが何よりも嬉しい。

 一瞬、強い風が吹き、軽く身震いが起きる。

「そろそろ移動しましょうか。お体が冷えては大変です」

 長谷部の言葉に頷くと、残っていたお茶を飲み干す。

 わずかに濡れた口元を軽く指先で拭おうとしたものの、その手を長谷部に掴まれ制止される。

「そのまま」

 彼の、甘く凛とした声に大人しく待つと、長谷部は袂から手拭いを取り出し、それをそっと口元に当ててくれた。

 口の紅を取らないよう、柔らかく触れるそれが、彼の想いの強さを思い知らされる。

 目が合った彼の視線は、どこまでも優しく、普段の勝気さは微塵も感じさせなかった。